外国人観光客の増加に対応するため、京都市内のホテル客室数を増やす計画が持ち上がっている。
確かに、来訪客数に対して、京都のホテル室数は少ない。わたしがツアーの仕事に携わっていた頃も、京都市内に泊まれないからと関空近くのビジネスホテルに飛ばされるというとんでもないコースが組まれていた。
伊勢で宿泊した後、長谷寺や奈良東大寺を観光して、翌日は嵐山散策なのに泉佐野まで走らされた。このツアーは国内客の一般募集だったが、紅葉トップシーズンの京都でホテルを確保するのは価格的にも無理だったのだろう。
朝、泉佐野から出発すれば、出勤渋滞に巻き込まれる。近畿道から名神、京都南の料金所渋滞。嵐山へ近づけば、当然のことながら駐車場が足りない一般車に行く手を阻まれる。渋滞で止まっているバスから添乗員に先導されて歩くツアー客。見ていて気の毒だった。同じコースを数回担当したが、いつもこんな感じである。
ホテルが足りないから建てる。需要があるのにそれに対応できないから手当する。
それは真っ当なことである。
しかし、京都という町の価値を考えた場合、むやみに無粋なホテルを建てればいいというものではない。
そこで、今回のアイデアが出てきたらしいのだが、
住宅地など、本来宿泊施設としての営業が出来ない地区で、
客室面積40平米以上の、
「上等な宿泊施設」を推し進めている。
裕福な訪日外国人を狙った施策だと言える。
客単価が3倍なら、普通の客3人と同じ売上が期待できる。人数が少ないのだから清掃・リネン代等の経費も少なくて済む。
どれほどの企業が参画するか分からないが、くれぐれも京都らしさを破壊するようなことにはならないで欲しい。