去年末から年始にかけて、いつもの年とは違うことをしてみた。一人暮らしのわたしの年越しはテレビ相手に文句を言ってみたり、大笑いするくらいのもの。おせちもなく、普段と変わらない食生活。家族で過ごす正月の記憶は遠いものになっている。

12月30日、忘年会を兼ねて数人の友人と多国籍料理屋で飲んだ。日ごろ飲まないわたしだが、飲み放題のポスターにつられて燃えてしまった。グラスワインを何杯も重ねるうちに記憶が無くなった、気分が悪くなって夢遊病者のようにお店のトイレに駆け込んだ。酒を飲んで吐いたのは10年ぶりのこと。モトをとってやろうと考えたのが愚かだった。友人たちからは、ちゃんとトイレで吐いたから許すと言われた。

大晦日、同メンバーで夕方、年越しソバをいただこうと近くの日帰り温泉に出かけた。露天風呂や岩盤浴を楽しんでからブッフェスタイルのレストランへ入った。前夜のことがあるのでアルコールはグラスビール一杯だけにした。ソバはイマイチだったが、他の料理は美味しかった。紅白が終わるころに帰宅、結局、一人で年越しとなった。

 

年の初めに何かを変えるといい、と色々な人から言われる。財布、靴、鞄など身に着けるものがいいらしい。

ということで、今年は眼鏡をかえてみた。3年が経過した眼鏡はそろそろ見辛くなっている。特に加齢による「老眼」が進んでいるのか、遠近両用眼鏡よりも安い老眼鏡の方が使い勝手がよくなっている。

どうせ変えるなら、と少々遊んでみた。仕事柄、ネクタイしめてスーツで出かけることなど滅多にない、芸術家にような風貌でも批判されることはないのだから。

大手格安チェーン店へ出かけた。ウェブサイトで見たものは無かったが、それよりも似合いそうなフレームを見つけた。しかもセール品で半額近い。試着したら鏡の中に見慣れぬオッサンがいた。

このフレームは上下の幅が大きいので、遠近両用レンズに向いているとスタッフが言う。そのまま視力測定、近視はチョットだけマシになっていたが、老眼は進行していた。経年変化だから仕方ないが数字で示されるとちょっと凹む。出来上がりまで2週間らしい、年の初めからワクワクさせてくれる。

 

「今年はいい年になるといいなぁ」と友人が言う。

「いい年にするんだよ」とわたしが言う。

そう、今、何かを変えなければなにも起こらない。

いい年にするために前を向いて歩いて行かなければ、と。

written by Yoshinobu Iriguchi