池袋で観光バスが燃えたとテレビで騒いでる。回送中だったのが幸い、乗客が居たら大変なことになっていただろう。報道番組の中で専門家と称する人が原因を予想しているが、わたしの意見は違う、火元はヒーターだ。
運転手は後部の蛍光灯辺りから出火したと言ってるが、最後部座席は焼け残っている、気が動転している彼の証言もあてにならない。
バスのヒーターには燃焼装置がついている。通常、温まった冷却水を循環して室内を温めているが、水温が低いときは運転席後部の床下にある燃焼装置が始動する。昔のバスではこの燃焼装置からの熱を直接車内へ導いていた。家庭用のファンヒーターと同じようなものだと思ってもらっていい。だから手入れが悪かったりすると酷い臭いが発生する。時として黒煙が車内に充満することもある。
前方から2列目か3列目辺りの床に空気取込口がある。水が入るのを防止するために、床面より少し高くなっていて、そこに鉄網が張られている。ここに結構な量の埃がたまる。不完全な清掃や手入れ不足によって、この埃が装置の中に入り込んで出火の原因になる。
今回の火災では、最初に黒い煙が大量に上がったとの目撃証言がある。天井の蛍光灯辺りの漏電火災では、大量の黒煙は出ない。
もう一つ、消火器について触れていた。
消火器は運転席後部や運転席脇に備え付けられている。ただ、この有効期限については、大手バス会社をのぞいて、きちんとチェックしているところは少ないと思う。運行前点検のチェックリストには記載されているが、ただ赤い筒があればOKと思っている運転手も多い。
バスがあんなに燃えるものだとは思わなかったとコメントしていたが、バスはよく燃えるのである。難燃性素材を使ってはいても、床下には燃料満載、車内は乾燥している。
バス火災が怖ければ安価なツアーには参加しないこと。
繁忙期にはバスを利用しないこと。
利用客が増えれば車庫で眠っている「予備車」が投入されたりするが、大抵古い機材であることが多い。ボロいバスは乗り心地が悪いだけではなく、アブナイものだと思っていて間違いない。
安価なツアーに関しては、どうして安いのかを考えればわかる。
今日の火災で駅前で待ちぼうけされられた人たちは気の毒だが、出発後に火が出るより良かったと思ってほしい。
あなたたちはとってもラッキーだった。
written by Yoshinobu Iriguchi