前知事が許可したものを現知事が取り消す。日本国政府としては非常に苛立たしいことだろう。前知事が許可を出したとき、わたしは驚いたが、沖縄振興策という名の「札束」で頬を張られたか、何かしらの裏工作があったのだと納得した。
わたしが暮らす埼玉西部は横田基地への進入路になっていて、時としてかなり低高度で軍用機が通過する。沖縄普天間の比ではないが、その騒音たるやテレビの音はかき消され、低周波で建具がビビることもある。普天間に於いては、この騒音以外に墜落のリスクを抱え、飛行頻度も高い。そこに暮らす人たちにとっては、どこか他へ移って欲しいという気持ちは理解できる。
わたしは以前から「下地島」への移転が最良の選択ではないかと思っている。
東シナ海の覇権を得ようとする中国に対する牽制にもなるし、人口密度も低い。海岸沿いの立地だから桟橋をつくるのも問題ない。
これまで民間機に訓練飛行場として利用されていたが、大手航空会社が撤退し、その頻度は落ちている。離島活性化にも役立つし、何より人口密度が低い。島とは言っても、伊良部・宮古の両島と橋で繋がっている。米軍のみならず、横田基地のように自衛隊との共用でも良いのではないか。
沖縄の人たちが日本国政府を恨むのはわかる。先の戦争に於いて、唯一の地上戦が行われ、軍の撤退により日本という国に切り捨てられた事実がある。その後1972年まで日本であって日本でない、沖縄に行くにはパスポートが必要だった時代が続いた。そのわだかまりを解くには、今の政府のやり方では無理だと思う。本当に沖縄に住む人たちの心情を理解し、その気持ちに寄り添う施策がなければならない。
日本国政府はアメリカに諂うのではなく、沖縄の人たちの身になって考えてほしいものである。
written by Yoshinobu Iriguchi