日本人の国民食、カレーの老舗、ココ壱番屋のビーフカツに端を発した「廃棄食品流通問題」。廃棄を依頼された食品を、法に反して食品問屋に売る。横流しなどとは言えない、対価を要求した以上、れっきとした商取引だ。この問題で一番の「悪者」は産業廃棄物業者だが、その背景にはわたし達消費者の「安ければいいという風潮」がある。
廃棄依頼された食品を売る。産廃業者からすれば、処理費と販売代金で「ダブルでオイシイ」のである。見た目に腐ってるように見えなければそんな卑しい気持ちが起きるのも頷ける。
その食品問屋からブローカーを介して「廃棄食品」を仕入れた小売店にしてみれば、これは「客ウケのいい売れる商品」なのだ。まして通常に仕入れるよりも安価であれば、小売店が飛びつくのも無理はない。
わたしが二度にわたって書いた「軽井沢スキーバス事故」も同じである。
少しでも「お得」にスキー・スノボがしたい、という消費者の欲求が、あのようなツアー会社の企画を選択する。ツアー会社にしてみれば、信頼性の高い大手バス会社に依頼したのでは採算が合わない。少しでも安く、とにかく斑尾高原まで走ってくれればいい。わたしは、その企画を選択した被害者達を責めているのではない。
法で規制されているから、それを遵守していることを前提にバスを運行を許している役人たち。従わなければ行政処分をすると「脅し」をかけたところで、アウトローなバス会社が従うはずもない。運賃が安いのだから本来かけなければならないコストを削減する、居るべき「運行管理者」を、資格はあるのだろうが社長が兼任する。兼任は法的に問題無いが、点呼場にいないとか、運行指示書が手交されていないのであれば違法である。わたしの友人が運行管理資格を持っているので聞いてみた。報道での映像で彼らが提示したのは「配車表」であって「運行指示書」ではない。
「このツアー安いけど大丈夫だよね」と、消費者も性善説でツアー催行業者を選択するからこのような悲しいことが起きる。
わたしは何度でも言う、
「モノには適価がある」。
安いものはワケがある、十中八九マトモなものじゃない、疑ってかかれ。
今回の廃棄食品流通問題、軽井沢スキーバス転落事故も、わたし達消費者が意識を変えなければ再発する。
安全は金で買えるもの。
安全を確保するためにはコストがかかる。
死にたくなければ格安バスや格安ツアーに参加するな。
安易に「格安」に飛びつくのをやめれば事業者の無理もなくなり、安全が担保されるのだから。
written by Yoshinobu Iriguchi