三菱自動車が燃費データ偽装で叩かれている。個人的には国内メーカで唯一好きなブランドだけに、とても残念な思いで一杯である。隠蔽体質を持った巨大企業は、そんな簡単に変わらない。
ところで、カタログに記された燃費について常々思うのだが、そのデータは「絵に描いた餅」ではないかと。
「1リットルで30キロ走ります」とか言われて喜んで飛びつく人々。わたしが若い頃に乗っていた原付並みの燃費であるが、実際に30キロ走ることは稀である。
最近の自動車は信号待ちなどでエンジンが止まる。アイドリングストップと言うらしいが、わたしは否定的だ。
エンジンをストップさせると言うことは、発進時に再始動するということ。今までの自動車は出発してから目的地に着くまでエンジンを止めることがなかった。昔言われていたことだが、一度エンジンをかけたら30分以上走らないとバッテリーに悪いと。技術の進歩で、今では過去の戯言と片付けられそうだが、機械の消耗を考えたらどうなのだろう。
信号待ちの多いところでは、数キロ先のスーパーに買い物に行くにも何度も停止と再始動を繰り返す。その負担はバッテリーとスターター(セルモータ)にかかる。今まで一度で済んでいたものが、その何倍、何十倍にもなる。当然、機械は使えば消耗するもので、寿命は短くなる。それに見合う「燃料の節約」は実現されるのだろうか。
このアイドリングストップこそ、今の燃費測定基準のカラクリであると言いたい。
二年ほど前、ハイブリッドの新型セダンを冷やかしに行った。営業マンに色々と尋ねてみると、カタログ燃費と実際の燃費が激しく乖離していることを話してくれた。カタログ値はあくまで「決められた条件」での測定であり、実際の走行状態・天候により数値は異なる。これはどのカタログにも記載してある。
今回、三菱自動車が叩かれるのは、エコカー減税が絡んでいるからなのか。
減税ランクが変わるほどの数値改ざんなのか。
それとも消費者を騙したからなのか。
高い買い物をするのだから、カタログ値なんてあてにならないものを信用するまえに、そのカラクリを勉強し、口コミなども参考にすればいい。
新発売のクルマは一年待ってから買えとわたしは教えられた。一年も経てば、ある程度不具合も改善され、巷に評判が溢れてくる。新しいもの好きには物足りないだろうが、失敗しないための策ではある。
わたしは三菱自動車が好きである。今回の騒ぎを糧にして、より良いメーカになって欲しいと願う。
written by Yoshinobu Iriguchi