大阪の中学校、校長が女子生徒に向けて「女性は2人以上生むこと」と「自論」をぶちまけた。キャリアなんて子供が育った後に求めればいいのだとの言葉に、現実を見ていない人だと感じた。

子供を2人以上、ま、以上という単語が入っているから間違いとは言えないが、各々の夫婦が2人の子供を育てても人口は増えない。わたしが若い頃に勤めていた会社の上司(他部署だったが)は「子供は3人以上生まないと人口は増えないんだよ」といつも言っていた。当時は雇用機会均等法もなく、新卒の女性は結婚と同時に退職するのが当たり前だった。今だったら叩かれそうな発言だが、人口を増やすにはその通りだと言える。

件の校長が「自論」を持つのはいい。しかし、それを公の場で「それしか選択肢が無いように」発言したのは問題だ。

取材した記者に向かって

「君は正社員か?」と言ったのも校長の硬直化した思考がうかがえる。

「非正規の何が問題なの?」と問いたい。

正規・非正規の収入格差が問題になっているが、取材記者に問うことではない。収入が低くても、本人がその仕事に生きがいを感じていればいいではないか。

女性は子育てをした後にキャリアを積めばいい、今の日本でそんなことができるのか。

年功序列が崩壊しつつあると言われてはいるが、未だに、特に大手企業では新卒で採用して自社の色に染めるのが当たり前になっている。

若いうちに子育てに追われた女性が、30歳を過ぎてからキャリアを積むのは、この国では不可能に近い。

つまり、彼が言いたいのは、

「女は仕事より家庭(子育て)」だということではないか。

人によって価値観は異なるのだから、そう考える人もいるかもしれないが、感受性豊かな中学生に、決めつけるような発言をしたことが許せない。

written by Yoshinobu Iriguchi