12月8日、今日は何の日?と問われてすぐに回答出来る人が少なくなってきてる。今日はこの国が大きな過ちへと動き出した日、無謀とも思える大国を相手に戦争を始めた日。

終戦(敗戦)から70年も経つのだから、その記憶を持つ人も減り、惨状が語り継がれる機会も減っている。今日、各局のニュースでも殆ど報道されていない。

「ニイタカヤマノボレ一二〇八」という暗号で伝えられた先制攻撃。新高山とは当時日本の統治下にあった台湾の山の名前、今では玉山と呼ばれている。先ほど、若い友人と電話で話してたらこの「ニイタカヤマノボレ」の意味が分からないと言っていた。

災いは忘れたことにやってくる、軍部主導で始まった先の大戦だが、すべての国民を巻き込んだということは災いという言葉で表現しても差し支えない。「ニイタカヤマノボレ」で何が始まったか、その結果どれだけの命が無残に散ったか。日本人として忘れてはいけない日なのに報道すらされない。

災いは忘れた頃にやってくる、この国はどこへ向かうのか、悲惨だった先の大戦の記憶も薄いものになって、また過ちの方向へ舵を切っているような気がしてならない。

「ニイタカヤマノボレ」は攻撃を受けた側のアメリカ合衆国での「Remember Pearl Harbor」と符合する。彼らにとっては奇襲によって甚大な被害を出した、ジャップにやられた「忘れられない日」である。

戦争は奪うだけで何も生まない、人々の中に憎しみが残るだけ。

「ニイタカヤマノボレ一二〇八」が二度と打電されないような世界であり続けて欲しいと願う。

written by Yoshinobu Iriguchi